豊胸手術の術式

シリコンバックの豊胸の手術法

豊胸手術は、体型、元々の胸の大きさ、バックを挿入する場所、バックのサイズなどにより見え方、触感が変わってきます。誰にでも同じサイズのバックを同じ場所に入れるのではありません。各人の希望を聞きながら、元々の胸の大きさ、痩せている、太っている、皮膚のハリ具合などを見極めて、手術法を決めることが重要です。

 

乳腺下法手術

乳腺と胸筋膜の間に人工乳腺バッグを挿入する豊胸手術です。乳腺下法では、乳腺の下のスペースにバックが入るので、元々の乳腺とバックが重なって存在することになります。つまり、元々胸がある同じ場所にボリュームを増やすことになります。人工乳腺バッグの動きや柔らかさがよく出るのが特徴です。技術的に簡単である為、多く用いられています。もともとある程度のバストの大きさがあり、谷間をつくりたい方、バストが下垂している方に適しています。しかし痩せ形や、胸が平坦なタイプに乳腺下法を行うと、作製した胸がお椀をひっくり返したような、人工的な胸になることがあり、注意が必要になります。

 

大胸筋下法手術

大胸筋と小胸筋を剥がして、筋肉の間にスペースを作り、人工乳腺バッグを挿入する方法です。大胸筋は胸板の分厚い筋肉なので、皮膚表面からバックまでの距離が遠くなるために、見た目も触感もバックの形状がわかり難くなります。バストに触れた時に人工乳腺の感触がしないのが特徴です。また、見た目の形は、なだらかに自然に仕上がります。乳腺や皮下脂肪が少ない方、皮膚が薄い方に適しています。手術には技術を要すこと、麻酔設備が必要であることから、大胸筋下法を行っていない施設もあります。

 

シリコンバッグの挿入部位

人工乳腺バックを挿入する部位は、腋窩部、乳房下縁、乳輪、側方の4種類が、あります。傷の大きさは、3〜5㎝程度になります。豊胸手術をされるほとんどの方はバスト自体に手術痕を残したくないと希望されます。この点では、腋窩部切開が優れているのですが、ほかの挿入部位と比べると手技的には難しく、左右対象で適正な位置にバッグを挿入するには、高度な剥離作業が必要となります。その為、希望や状況によっては他の挿入部位を選択することもあります。また、他院のバッグの抜去や入れ替え、修正や被膜拘縮などの場合には、治療のやり易さの観点から、腋窩部切開以外を選択することもあります。

 

腋窩部切開

脇の下の下方を4㎝位の切開をしてバッグを挿入する方法です。

脇の下のシワの部分からバックを挿入する方法で傷跡が目立ち難いために多く用いられています。4つの切開部位の中でも最も傷痕が目立ちにくく、術後瘢痕になりにくい部位です。術直後から傷痕を隠すことができます。傷は2、3ヵ月から半年位の経過とともに脇の下の皺のようになり、更に分からなくなっていきます。

 

乳房下縁切開

乳房の下の4㎝位を切開してバッグを挿入する方法です。バッグを挿入するスペースを形成する部位に近いため、挿入作業が最もしやすいメリットがあります。また胸の形を整え易いという利点があります。乳房の下から挿入するため、手術後は仕上がったバストの下に挿入部が隠れます。その為、バストが下垂している方や色白で傷が目立ちにくい方などに適しています。しかし、仰向けになると傷跡が目立ちます。

 

乳輪切開

乳輪下部からする方法です。乳輪の下の半周部分を切開して、バッグを挿入する方法です。バッグを挿入するスペースを形成する作業が比較的やり易いことがメリットです。乳輪の小さい方には適しません。乳輪は色の濃い部分であるため、傷跡は徐々に目立ち難くなります。しかし乳腺や乳管を傷付けるリスクがあり、注意が必要です。稀に、切開部の皮下に癒着がおきると陥没してしまい、段差が目立ってしまうデメリットがあります。

 

側方切開

乳房の側縁を切開して、バッグを挿入する方法です。術後バッグが上下に移動するリスクが低いです。しかし、術後の傷跡が大きく目立ち、傷が目立たなく消失までに期間を要します。現在、日本ではあまり行われていない方法です。

 

豊胸手術のリスクやデメリット

胸部の皮膚の色素沈着を認める場合があります。

カプセル拘縮などの理由により胸が硬くなることがあります。